掴めそうで掴めないxx。
No.9
2011/05/23 (Mon) 18:27:55
「―なあ七尾、知ってるか?」
25歳の春、またひとつ旅を終えて馴染みの酒場へ顔を出す。
俺と同じような客が何人もいるこの場所で、常連客ともすっかり顔なじみになった。
その内のひとりが、嬉々として話しかけてくる。
「知ってるって、何を」
水で割った焼酎に口をつけながら、隣に座ったその男へ問い掛けてみる。
どうせ他愛もない噂話のひとつだろう、この時はそう思っていた。
「あの大上家に、実は娘がいるってさ」
大上家。依頼を受けて汚い仕事をこなす、暗殺一家。
山奥にあるその家に近づけば一生帰ってくることはない、なんて怪談すら生まれる家。
放浪で得た知識を頭の中で思い出しながら、ふう、と息を吐いた。
「どうせまた情報源のわからないただの噂だろう?あの家には、将来家を継ぐと言われている長男ひとりしかいないはずだ」
「へーへー、どうせただの噂ですよ。でも、火のない所に煙は立たぬ、とも言うけどなあ?」
「噂だろうが真実だろうが、それを確かめる人間なんていないだろう」
「まあ、それは言えてる」
仮にこの話が本当だとして、それを確かめようと思う人間はいないはず。なにせ、一度立ち寄ったら帰ってこれない屋敷なのだから。
―けれど。
「大上家の娘、か…」
ひとつ旅を終えて目的のない自分。
窮屈な家の中に閉じ込められている彼女。
―少しだけ、興味を持ってしまったんだ。
爆弾は大上家、導火線は彼女。
そしてその線に火をつけてしまったのは、間違いなく自分だとこの時は気付く筈もなかった。
ずっと書こうと思っていた七尾の過去話をちらっと。
七尾がまだ柴野家に関わる前の話。放浪中に耳にした他愛もない噂のひとつが発端だった、というね。時として始まりは軽いきっかけの場合があります。
そろそろ寧子以外も動かしたいなあ、と思いつつ、寧子も呼びだしたい相手がいるというか。今絶賛お話し中なんですけどね(笑)
そして、晴れて皆様の中で寧子はつんでれっぽいイメージを獲得したようで。気の強いお姉さん、とのギャップ?ですかね?好きなように可愛がっていただけて嬉しいですけどもね!
25歳の春、またひとつ旅を終えて馴染みの酒場へ顔を出す。
俺と同じような客が何人もいるこの場所で、常連客ともすっかり顔なじみになった。
その内のひとりが、嬉々として話しかけてくる。
「知ってるって、何を」
水で割った焼酎に口をつけながら、隣に座ったその男へ問い掛けてみる。
どうせ他愛もない噂話のひとつだろう、この時はそう思っていた。
「あの大上家に、実は娘がいるってさ」
大上家。依頼を受けて汚い仕事をこなす、暗殺一家。
山奥にあるその家に近づけば一生帰ってくることはない、なんて怪談すら生まれる家。
放浪で得た知識を頭の中で思い出しながら、ふう、と息を吐いた。
「どうせまた情報源のわからないただの噂だろう?あの家には、将来家を継ぐと言われている長男ひとりしかいないはずだ」
「へーへー、どうせただの噂ですよ。でも、火のない所に煙は立たぬ、とも言うけどなあ?」
「噂だろうが真実だろうが、それを確かめる人間なんていないだろう」
「まあ、それは言えてる」
仮にこの話が本当だとして、それを確かめようと思う人間はいないはず。なにせ、一度立ち寄ったら帰ってこれない屋敷なのだから。
―けれど。
「大上家の娘、か…」
ひとつ旅を終えて目的のない自分。
窮屈な家の中に閉じ込められている彼女。
―少しだけ、興味を持ってしまったんだ。
爆弾は大上家、導火線は彼女。
そしてその線に火をつけてしまったのは、間違いなく自分だとこの時は気付く筈もなかった。
ずっと書こうと思っていた七尾の過去話をちらっと。
七尾がまだ柴野家に関わる前の話。放浪中に耳にした他愛もない噂のひとつが発端だった、というね。時として始まりは軽いきっかけの場合があります。
そろそろ寧子以外も動かしたいなあ、と思いつつ、寧子も呼びだしたい相手がいるというか。今絶賛お話し中なんですけどね(笑)
そして、晴れて皆様の中で寧子はつんでれっぽいイメージを獲得したようで。気の強いお姉さん、とのギャップ?ですかね?好きなように可愛がっていただけて嬉しいですけどもね!
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